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長崎家庭裁判所佐世保支部 昭和42年(家)502号 審判 1968年3月16日

申立人 山崎正夫(仮名)

不在者 山崎フミ(仮名) 昭和一三・六・一〇生

主文

本件申立を却下する。

理由

申立人は不在者山崎フミに対する失踪宣告の審判を求め、申立の原因として、不在者は申立人の妹であるが、昭和三〇年四月二五日頃当時一七歳で無断家出し、以来音信なく行方も生死も不明であると申述した。

しかし当庁調査官の調査結果等によると右申述は全くの虚偽であり、事実は申立人の父山崎吾一(故人)がその友人で佐賀県○○町の町議をしていた藤田和夫から頼まれ、同人が芸者に生ませた子を申立人の妹「山崎フミ」として入籍してやつたものであること、但し山崎吾一は単に戸籍を貸してやつただけで実際にフミを育てたことはなく、フミがどこで生れてどこにいるのかも知らなかつたことが認められる。また前掲調査結果によつても山崎フミが当初から何処に居住していたのかは不明であり、他にも同女の消息の手がかりを得ることができない。

失踪宣告の対象たる不在者とは従来の住所又は居所を去つて帰来する見込のない者をいうのであるから、本件のように従来の住所・居所自体が不明の場合は右不在者の概念に含まれないと解すべきである。本件申立は右の点において既に理由がない。

よつて本件申立を却下することとし、主文のとおり審判する。

(家事審判官 楠本安雄)

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